幹細胞幹細胞には、自己複製と、他の細胞タイプに分化する能力という、他にはない特徴があります。iPS細胞によって、倫理的な懸念と、拒絶反応の可能性を回避できます。このような特徴は、白血病や自己免疫疾患の細胞治療などの治療用途に、そして最近では失明の治療にも期待されています。

目は複雑な器官であり、独自の役割がある数多くのタイプの細胞からできています。このような細胞が組み合わされて、周囲の環境から光を検知し、その情報を脳に送るシステムを形成します。網膜色素上皮(PRE)は、光波を細胞信号に変換する責任を負う細胞層です。

図1:iPS細胞による網膜疾患の治療。体細胞が培養され,多分化能因子の付加によりiPS細胞にリプログラミングされます(A)。この細胞がRPE細胞に分化されると、試験を行い、患者の網膜下に注射します(B)。

RPEは、光感応性の視細胞外節と、脈絡膜の有窓毛細血管に面する側底膜から成る頂端膜から作られる単層の色素細胞で構成されます

RPE細胞は、網膜と視細胞の構造と機能を維持するために最も重要です。また、RPE細胞は、網膜に補給する栄養素の生成にも重要です。RPE細胞は、加齢黄斑変性 (AMD)、網膜色素変性、シュタルガルト病、レーバー先天性黒内障など、さまざまな疾患によって損傷する恐れがあります。RPEの進行性損傷は目の機能不全を招き、失明をもたらすことさえあります。

網膜のドナーは少なく、見つけることは困難です。近年の研究では、角膜移植用のRPE細胞の生成にiPSを使用することが試みられ、RPE角膜移植のヒトの臨床試験が2014年に始まっています。現在、患者の網膜下に150μLのRPE細胞を注射する治療が実施されています。

参考文献:

  • Cyranoski, D. (2014). Japanese woman is first recipient of next-generation stem cells. Nature, 12. - Pagliuca, F. W., Millman, J. R., Gürtler, M., Segel, M., Van Dervort, A., Ryu, J. H., ... & Melton, D. A. (2014). Generation of functional human pancreatic ? cells in vitro. Cell, 159(2), 428-439.
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